GOLCY 経済部 日本人経営者のためのシンガポール入門 シンガポールの所得税申告の概要

日本人経営者のためのシンガポール入門


シンガポールの所得税申告の概要

はじめまして!公認会計士の萱場(かやば)と申します。シンガポール在住歴は約8年、シンガポールの会計事務所CPAコンシェルジュ社を創業、経営しています。
当コラムでは、主にシンガポール在住の日本人経営者向けに、シンガポールと日本の両面から、「聞いたことがあるけど結局どういうこと?」「人によって言ってることが違うけど、どれが正しいの?」「日本はこうだけどシンガポールだとどうなの?」といった情報をかみ砕いて分かりやすく解説していきたいと思います。主にシンガポールの経営管理や税務に関するテーマを取り扱う予定です。

早速ですが、記念すべき第1回は、ちょうど申告期間真っ只中のシンガポールの個人所得税申告です。以下、申告スケジュールと申告の要否、所得税率、日本で受け取る給与について解説していきます。

◆個人所得税申告のスケジュール
シンガポールの個人所得税は日本と同様に、暦年の所得を翌年に申告します。具体的には2019年1月1日から12月31日までの所得であれば2020年3月1日〜4月18日の間にMy Tax Portalという監督官庁(IRAS)のウェブサイトから申告を行い、その後、IRASから発行される課税通知書(NOA: Notice of Assessment)の日付から30日以内に納税を行います。支払い方法は一括納付、もしくはGIRO(口座自動引落し)を設定している場合は分割納付を選択可能です。

◆申告の要否(申告が必要かどうか)
シンガポールには日本のような源泉徴収&年末調整の制度がなく、会社勤めであっても自分でForm B1と呼ばれる様式で所得税申告する必要があります。弊社のような会計事務所に所得税計算と申告をご依頼いただくケースもあります。
例外的に、年間所得が22,000㌦以下かつIRASから申告が必要な旨の通知が届いていない場合は申告の必要がありません。また、シンガポールに移住した初年度にシンガポールで申告する所得は、一部のケースを除き移住後のシンガポールでの所得のみが申告対象となり、シンガポールから完全帰国する際は、IR21と呼ばれる所得税精算を行う必要があります。

◆所得税率
シンガポールの所得税率は、日本と同じく累進税率(低額所得者は低税率、高額所得者は高税率となります)を採用しており、日本では住民税も合わせると最高で約55%、シンガポールでは最高で22%(住民税無し)という税率となります。所得金額や控除の内容などによって異なりますが、仮に月額給与が15,000㌦だとするとシンガポールの税率で計算すると所得税がおおむね16,000~17,000㌦、日本の税率で計算すると所得税がおおむね57,000~59,000㌦となり、このケースだと日本に比べてシンガポールでは、所得税が3分の1以下といえます。

◆日本で受け取る給与について
EPホルダーとしてシンガポールにお住まいの日本人の方で、シンガポール国内の労働(≒EPで許可されている職務内容)の対価として日本とシンガポール両国で給与を受け取っている場合、日本で受け取った給与についてもシンガポールで受け取った給与と合算してシンガポールで所得税申告を行う必要があるため注意が必要です。

萱場玄
シンガポールの会計事務所CPAコンシェルジュ代表。2012年からSG在住の公認会計士

シンガポールの会計事務所CPAコンシェルジュ(CPA CONCIERGE PTE LTD)
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